AsMamaは今年で創業5年目になります。赤裸々な話、元々IT系のベンチャー投資会社にいたことも関係あるのかないのか、出資 や融資のご提案を受けることがありがたいことに創業間もないころから数多くあり、おそらく今日に至るまでに100回は下らないと思います。メディア取材等 もしかりですが、こうして目利きのある人たちに関心を持って頂くというのは、手元のキャッシュもそれほどない創業期においてはとてもとても心の拠り所とな るものです。

「資金調達」は創業手続や事業計画作成と並んで起業時には誰もが知識として学ぶタスクの一つで、そういえば、創業間もないころ、ベンチャー支援で有名な某社長から、「有利な金利で借りられる創業期に パフォーマンスでもいいから借りた実績をつくっておく方が良いよ。」と言われたことを思い出します。(無論、借りませんでしたが^^;)

AsMama はこれまで融資も投資も受けずに、自己資本だけでやってきました。いわゆる無借金経営です。ベンチャー起業といえば、外部からの資金調達が出来てこそ一人 前の社長であるかのように思われがちですが、敢えて頑に、今日に至るまでプライベートカンパニーでい続けた理由を書き残しておきたいと思っています。

私自身まだまだ勉強中の身ではあるものの、最近は起業・創業の相談を受けることも多くあります。その中でも特に多いのですが、収益化や収益事業の拡張性に関 する相談です。中には、事業モデルの確立や目指すべきゴールが定まってないことに関する相談もあります。そうした中、出資を募ることありきで起業を考えら れている方がいかに多いかということには、とても驚かされます。投資案件として採択されるには、きらりと光る事業の発掘における百戦錬磨の投資家をするりと突破できるとは思い難いというのも一理ありますが、そもそも仮に運よく投資してくれるという人が現れたとして「(事業成長によるリターンを約束できない うちに)本当に投資なんて受けちゃっていいんですか?」と言う事の方がむしろ、老婆心ながら思うわけです。

また、外部からの資金調達に成功した(またはしようとしている)方に「イグジット(※後述)はIPOを目指すんですか」と聞くと「そうですねー」と、何とも 曖昧な返事を聞くことも結構よくあります。勿論、守秘義務等で言えないことも多々あるでしょうが、皆さん、本当に本当に出資者とゴールを共有して、戦友と してともに走る、ということにコミットされてたんでしょうか…(;´Д`)、と思うことも多々あります。

勿論、これから会社を大きく成長するために従業員を雇ったり、社屋を構えたりするためには先立つ資金は必要です。最初は自分の預貯金を使うか、知人友人親戚 から集めてくるか、銀行から融資を受けて借金するか、VCや事業会社から出世払いを約束して投資を受けるかなどいずれかの選択肢になるわけです。ちなみに 私の場合は前職の退職金を全額使って資本金にしました。

前段が長くなりましたが本題です。

なぜAsMamaはこれまで出資や融資を受けなかったか。

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理由は単純明快です。世の中の誰もが未だ実現できていない「信頼できる人たち同士が安心して子どもの送迎や託児を共助できる社会インフラを創る。(しかも、 子育て世帯からの料金徴収は行わない!)」という事業の確立に臨むにあたり、そりゃぁ私自身は絶対に実現できるまでやりきるつもりがあって始めたわけです が、誰にも未来のことなんて時系列で約束することなんて出来なかったからです。

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(↑創業間近の自宅を開放しながら行っていた地域交流活動。
…コレが事業になりそうな気がする人がいたら、その人は変人です…)

何をすればうまくいくかもわからないうち に、うまくいくための事業計画に必要な資金が一体いくらなのかを最初に計算することも難しかったし、適当な金額の融資を受けても返済できるかどうかなんて わからないし(当然返済できなければ倒産ですw)、投資を受けるにも受けた以上のリターンをいつになったら返せるかの目途すらたてようがなかったわけで す。だからこそ残された選択肢としては、社会課題解決と自立自走できる収益化を両立できるビジネスモデルを一日でも早く築く、ということに一心不乱に徹することだけでした。

また、自分たち自身の在り方すら定まらないうちに融資や投資を受ければ、ミッションやゴールを十分に共有できていないステークホルダーが出来てしまい、事業 成長を加速化するどころか意思決定に時間がかかり本来目指すべき事業活動が鈍化するのも嫌でしたし、一度そんなふうになると後々面倒なことになるということが怖かったというのもあります。

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(創業暫くは地域交流イベントの看板も子どもが描いてくれた手書き♡^^↑)

周知のとおり、銀行の融資というのは、住宅ローンと同じで、事業がうまくいこうといかな かろうと、最初に約束した返済計画通りに、一定の金利を上乗せして期日までに返済する必要があります。一方、投資は、投資家と握った期日までに握った事業 成長を目指して共に走り、会社価値が上がることによる高いリターンを還元する必要があります。投資は投資家による自己責任だなんて言う方もいますが、それは違うと思っています。投資するかしないかの判断は投資家にしかできませんが、してもらうための候補者として手を挙げた時点で、事業家は半分の責任を絶対 に果たす覚悟を持つべきだと思っています。だからこそ、投資を受けるというのはまるで結納金を受けとるみたいなもので、結婚する覚悟・・・つまりは一緒に幸せになる覚悟が出来る人と出会い、価値観を共有し、自分が半分の役割を担う覚悟が持てると思えて初めて受け取れる、そんなもののように思ってきました。

でもわたしには、創業してからの5年間、そんな見通しを第三者と約束するなんて到底できませんでした(苦笑)。絶対に会社をつぶしたくないから、絶対に事業ミッションの遂行も成長もコミットしたいから、融資も投資も選択肢としては時期尚早だと思ってきたわけです。

勿論、自己資金だけでやってきたわけですから、創業当時からいるメンバーにはずいぶん不憫な思いも不甲斐ない思いもさせたと思っていますし、今も、十分とは 言い難いことを考えると心苦しい気持ちもあります。これまで融資も投資も私が頑な信条で選択肢の一つにしてこなかったせいで、ハイキャリアな方や家計を支える責任がある方から給与面や、採用までの時間のかけ方に関する不満を理由に内定辞退や入社後まもない離脱を申し出られた時は、経営者として間違った選択肢をしているのではないか、と不安でたまらなくなることも何度も何度もありました。いっそ、エイヤーで融資でもうけた方が良いんじゃないか、投資しますよと言ってくれる人の手を握った方が良いんじゃないかとおもったことも、なかったと言えばウソになります。

それでも結局今日に至るまで、なんとかかんとか、縁と運と人に恵まれて、事業継続してきたわけですから、私にとって最大の借金は、創業期から一緒に活動しているメンバーたちの時間と労力と期待に他ならないわけです。

まもなく創業してから5年が経ちます。

リアルな地域交流の場づくりにおいては、登録料も手数料もかからず万一の事故には保険が適用される、日本で初めての子育てを安心して頼り合える仕組み「子育 てシェア」や地域の世話役人「ママサポーター」のことを全国に点在するスタッフが熱い思いで年間300万世帯以上(昨年度実績)に対面でアプローチしてい る訴求力を活かし、子育て世帯にアプローチしたい商品や商材、施設を有する年間100社超の企業様の広報・マーケティング・集客・顧客化を実現できるビジ ネスモデルをようやく確立させつつある状況です。

そして、今、地域交流ノウハウや「子育てシェア」という仕組みを活かし、 いよいよ子育ての共助インフラを創る事業モデルの確立にチャレンジし始めています。具体的には、マンションや習い事、自治体や各種学校に導入することで共助コミュニティづくりやセーフティネットの役割を担ったり、企業人事や派遣会社と組みながら子育て世帯に子育てシェアの活用促進を行うことで実利的な子育 てとキャリアの両立支援策の提供を行っています。こうした取り組みは2014年1月から開始したばかりで、まだまだ手探りなところも多々ありますが、必ず しも効果成果がすぐに出せない活動にも、パートナー企業の方々が同じゴールを目指して伴走してくれていることこそが共助プラットフォームがインフラ化する 日は必ず来る、と思える確証でもあります。

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そしてここまで書くと、「いよいよ資金調達ですか?」なんていう声も聞こえてき そうですが、いやいや・・・^^;。

ニーズがないわけではないですが、…もう少し計画を練りたいと思います(笑)。

ただ、その時がきたら、従業員には勿論、投資家の方々にも最大リターンが約束できる成長計画がある程度角度高く見込める事業モデルがあり、そのために必要かつ最も効果的にハンドリングできる資金が計算でき、資金を最大活用して社会的課題解決と事業成長の最大インパクトを一気に狙いたいと思っています。

・・・挑戦的に、野心的に!( `ー´)ノ☆彡