2014年11月を以て、AsMamaは5期を終え、6期を迎えました。昨年はNHKのサキドリや東京テレビのガイヤの夜明けに出たり、AERAや日経ビジネスに出たり、全国の新聞各紙で取り上げて頂きましたし、行政・民間問わずのビジネス支援案件に採択されたり、Japan Venture Awardの社会貢献特別賞を始め数々のアワードでの受賞も増え、多くの方に称賛いただくことも増えました。大先輩からは「好事魔多し」という言葉があるように物事がうまくいっているようなときほど気をつけて、とアドバイスをもらったほどですが、運と縁と人と健康に恵まれてここまでがむしゃらにやってきたものの、「好事」を感じる余裕すらなくまさに毎日が「がむしゃら」の連続です。

つい最近NHKのきら女☆スペシャルという生番組に出演しました。テーマが今年のブームともなった「ありのままで~Let it go~」で、番組出演者に「あなたにとっての『ありのまま』とは何ですか」という質問がありました。他の出演者の方々が「受け入れる」「無理をしない」という類の回答だったのに対して、わたしは「デキル!」と書きました。

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自分で書いたボードを出した瞬間、「あ・・・わたしだけまた趣旨を理解していないトンチンカンなことを書いたかな」とも思いましたが、これは決して私が自分で自分のことを出来る人間だとかそういうことではなく(滅相もない・・・)、そもそも見栄を張ったり、負けたくないと思ったり、勝手にまだやってもないことに否定的になったり不安になったりすることこそが煩悩であって、ありのままを突き詰めたらなんでもやれる、「デキル」と思うという意味で、その言葉を書きました。出来ないうちはまだ煩悩が邪魔しているからです。煩悩だらけなわけだからいつも自分との葛藤は絶えないわけですが(笑)。

 

また、同番組の中でこれまでの人生における「壁」がなんだったかという質問も受け、ありとあらゆることが昨日までと同じにはいかない経験ということで「出産・子育て」と書きましたが、今日は5年の節目として事業において感じた「壁」について書いておこうと思います。同じように悩んだりする人がいた時の考え方の参考になれば幸いです。

 

わたしにとって5年間、これは今なおですが、一番辛い事は「信頼する社員の離職」です。

AsMamaでかなえたいことがあると思って参画してくれたにもかかわらず、本人事情や家族事情、労働環境や処遇、ビジョンの共有不足や他の事への関心など、理由は様々ですが、理由を問わず、原因が離職者側にあろうが会社側にあろうが、そもそも受け止められる器が、その時その時の会社や私になかったということを突きつけられる気がいつもします。どっちがいいか悪いかなんてむしろどうでもいいくらい、自責の念に駆られます。

でもそんなときに、昔教えてもらったことを自分に言い聞かせます。

 

それは「その人はもういない、と思うことだよ」という言葉でした。

 

なんて不謹慎な・・・・と思うかもしれませんが、会社の代表として、その人がいなくても会社を回していかないといけないのが役割です。生きて元気にやっているから、戻ってきてくれないかな、とか、自分が悪かったのかな、とか、こうしたらよかったのかな、なんてあれこれ考えてしまいますが、そんなことを考えている時間はすべて無駄なわけで、それよりも、とにかくきちんと会社という船の舵を取ることが大事だということを、自分に言い聞かせるのです。そのあと反省すべきは反省します。改善すべきは改善します。だけど、会社の文化やビジョンや財務の健全性を保つことを念頭から決して離さないように、一時の感情に揺さぶられて流されてしまわないように、その時を乗り越えなければいけない、ということです。会社が成長してまた戻ってこようと思ったときに大腕を拡げて待っていてあげられるような会社になっていればいいなと思います。

 

そして、次なる壁、は組織力です。

そもそもAsMamaは、「通勤不要・時間管理なし・子連れ可という働き方」で事業を始め、最初はサークル活動なのか会社なのかもわからないような始まりでした。(AsMamaでの働き方については以前のブログをご参照 http://koda.asmama.jp/post/83950050864 )。ビジネス経験豊富な人たちが集っているというよりは、ビジョンに共感したりワークスタイルに興味を持ったりして参画を希望してくる人たちが多く、子育て真っ最中ママがほとんどです。創業当初は払える給料もほとんどないですから、ボランティアや業務委託のような形で出来る人が出来ることをやるベストエフォート方式で事業を始めましたが、年月が経つにつれて、ビジネスモデルが出来、協業する企業数もエリアも増え、それぞれが給料の安定や昇給も期待しながら事業活動に従事するようになってくる分、企業としての責任もクオリティも拡大も求められるようになります。その事業の成長に社内の成長をどうついていかせるかは大きなチャレンジであり続けています。出来る範囲で留まっちゃいけない、自己満足ではいけない、というのをママが中心となって全国各地に点在する集団で浸透させ、ワクワクしながら事業に従事してもらうのは至難の業ではないかと思うことも日常茶飯事です(笑)。

従業員の多くが、子育てを初めとするプライベートな事情を優先しがちです。子どもの学校行事や町内会の用事、家族行事などで「今日は稼働が鈍ります」なんてザラにあります。移動距離が30分を超えると「子どもと一緒に移動するには遠い」という理由で就労困難と相談を受けることもあります。こうしたことを仕事人間の私自身が一番受け止められなかったり、戸惑ったりすることもこれまでには多々あります。

でもよくよく考えれば創業当初は、「手伝ってくれてありがとう!!!」と言いながらベストエフォート方式で関わってきてくれていた人たちに、目的・成果追求型の働き方に変化させようとしても、急には無理です。というよりも強引過ぎるのは会社の方です。当然、理解できない人やついていけない人も多数出ます。勿論都度都度、会社規則を変えたり、その周知を図ったりするわけですが、一度できてしまった企業内慣習や崩してしまった信頼があるとしたら、それをもう一回作り直すには、会社の課題とビジョンをそこから、何度も何度も共有することが大事だと改めて痛感しています。これは「伝えたか」どうかじゃなくて「伝わったか」です。一度や二度伝えても、メーリングリストで発信しても、伝わっていません。交流会や懇親会をしても、伝わっていない人も多数いますし、そもそも参加しない人をどう巻き込んでいくかも考えなくてはいけません。それでも会社が組織力を高めていくためには、「いつまでになにを、どのくらい、なんのために実現するのか」のビジョンとミッションの浸透なくして求心力なしだと、思います。

 

最後に一つ。これまた今尚、の課題ですが、計画が立たないということです。社長がこんなこといっていていいのか・・・という感じですが^^。。

前職ではIR(投資家向け広報)や社長室での経営企画を経験し、過去の事業実績から未来の事業予想を立てる、ということをずっとやってきましたから紙の上での計画づくりは苦手でもないはずです。でも、もう・・・・・・・・ほんと、奇想天外なことや予定不調和なことが起こりすぎて、四半期ごとに作り直す事業計画なんて立てても無駄なんじゃないかと思う事さえあります。それでも事業計画を創るのは、きちんと目指すビジョンを「エイヤー」でも良いから立てるためです。夢も妄想も口にした途端、99%は実現します。少なくともそっちの方向には向かいます。だから、わからないから作らない、ではなく、わからないから作ってがむしゃらにでもソコを追いかけるのです。

年の瀬に、来期の目標と妄想を創りながら、まだまだがむしゃらに走るのかな・・・なんていうことに武者震いしながら、明日の元日を迎えようと思います。

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